36協定、その内容と注意点とは?

less than a minute read 27-09-2024
36協定、その内容と注意点とは?


36協定、その内容と注意点とは? 知っておくべき労働時間管理の基礎知識

日本の労働法において、従業員の労働時間管理は非常に重要な要素です。中でも、36協定は、従業員を守るための重要な制度であり、企業側にとっても適切な労働時間管理を行う上で欠かせないものです。しかし、36協定の内容や注意点については、理解が難しいと感じている方も多いのではないでしょうか?

本記事では、36協定の内容や注意点について、具体的な事例を交えながら解説していきます。従業員を守るための労働時間管理の基礎知識を理解し、働き方改革を推進していくために、ぜひ最後まで読んでみてください。

36協定とは?

36協定とは、労働基準法に基づき、会社と労働組合または労働者の過半数代表者間で締結する協定のことです。この協定によって、労働基準法で定められた労働時間に関する規制の特例が認められます。具体的には、時間外労働時間や休日労働時間の限度、深夜業の制限などを、法律の範囲内で協定によって定めることができます。

36協定が必要な理由

36協定が必要な理由は、以下の通りです。

  • 従業員の過労を防ぐ: 労働基準法では、原則として時間外労働は月45時間、年360時間を超えてはならないとされています。しかし、業務の繁忙期や特殊な事情により、この時間制限を超えて労働が必要となる場合もあります。36協定を締結することで、時間外労働時間の限度を法律で定められた範囲内で延長することができ、従業員の過労死や過労による健康被害を防ぐことができます。
  • 企業の経営活動を円滑化: 36協定を締結することで、時間外労働時間の限度を明確化し、企業は適切な労働時間管理を行うことができます。これにより、労働時間に関するトラブルを未然に防ぎ、企業の経営活動を円滑に進めることができます。
  • 労働時間に関する透明性を確保: 36協定を締結することで、労働時間に関するルールを従業員に明確に示すことができます。これにより、労働時間に関する従業員との間の誤解やトラブルを減らすことができ、透明性の高い労働環境を実現することができます。

36協定の内容

36協定の内容は、以下の項目を含みます。

  • 時間外労働時間の限度: 月45時間、年360時間を超える時間外労働を行う場合、その限度を具体的に定めます。
  • 休日労働時間の限度: 年60時間を超える休日労働を行う場合、その限度を具体的に定めます。
  • 深夜業の制限: 深夜業を行う場合、その時間帯や労働時間の限度を具体的に定めます。
  • 割増賃金の支払い: 時間外労働や休日労働に対して、労働基準法で定められた割増賃金を支払うことを明記します。
  • 労働時間管理の体制: 労働時間の適切な管理を行うための体制を整備することを明記します。
  • 従業員の意見聴取: 36協定の締結にあたり、従業員の意見を聴取することを明記します。

36協定の注意点

36協定を締結する際には、以下の点に注意する必要があります。

  • 労働基準法の範囲内で: 36協定は、労働基準法で定められた労働時間に関する規制の特例を認めるものであり、法律の範囲を超えて労働時間を延長することはできません。
  • 従業員の過半数代表者の同意: 36協定を締結するには、労働組合がある場合は労働組合の同意、労働組合がない場合は従業員の過半数代表者の同意が必要です。
  • 書面による締結: 36協定は、書面で締結する必要があります。
  • 労働基準監督署への届出: 36協定を締結した場合は、労働基準監督署に届出を行う必要があります。
  • 定期的な見直し: 36協定は、労働時間管理の状況や経営状況の変化に合わせて、定期的に見直す必要があります。

36協定違反のリスク

36協定を締結せずに時間外労働を行ったり、36協定で定められた時間外労働時間を超えて労働を行ったりした場合、以下のリスクが発生します。

  • 罰則: 会社は、罰金刑が科される可能性があります。
  • 損害賠償: 従業員は、時間外労働による健康被害や損害に対して、会社に損害賠償を求めることができます。
  • 労務トラブル: 従業員との間で、労働時間に関するトラブルが発生する可能性が高まります。

36協定の具体的な事例

例1: 繁忙期における時間外労働時間の延長

ある会社は、毎年12月~3月は繁忙期で、多くの時間外労働が発生する状況です。そのため、36協定で、12月~3月の間は、月60時間までの時間外労働を認め、その他の期間は月45時間以内とすることを定めました。

例2: 休日労働時間の制限

ある会社は、土日祝日は原則休業としていますが、お客様対応などのために、一部従業員が休日出勤を行うことがあります。そのため、36協定で、休日出勤は年間10日以内とし、休日出勤した場合には、必ず代休を取得することなどを定めました。

例3: 深夜業の制限

ある会社は、深夜業を行う部門があり、従業員の健康状態が懸念されていました。そのため、36協定で、深夜業は原則禁止とし、業務上の必要性により深夜業を行う場合でも、週2回まで、1回2時間以内とすることを定めました。

36協定に関するQ&A

Q1. 36協定は必ず締結する必要があるのでしょうか?

A. 36協定は、労働基準法で定められた労働時間に関する規制の特例を認めるものであり、必ずしも締結する必要はありません。しかし、時間外労働を行う場合は、従業員の過労を防ぐため、36協定を締結することを強く推奨します。

Q2. 36協定を締結していないとどうなるのでしょうか?

A. 36協定を締結していない場合、時間外労働は原則として月45時間、年360時間を超えてはなりません。この時間制限を超えて労働を行った場合は、会社は罰金刑が科される可能性があります。

Q3. 36協定はどのような内容で作成すればよいのでしょうか?

A. 36協定は、時間外労働時間の限度、休日労働時間の限度、深夜業の制限、割増賃金の支払い、労働時間管理の体制、従業員の意見聴取など、具体的な内容を定める必要があります。具体的な内容は、会社の業種や業務内容、従業員の労働時間の実態などを考慮して決める必要があります。

Q4. 36協定はどのようにして締結すればよいのでしょうか?

A. 36協定を締結するには、会社と労働組合または労働者の過半数代表者間で協議を行い、合意した内容を文書で締結する必要があります。締結後には、労働基準監督署に届出を行う必要があります。

まとめ

36協定は、従業員の過労を防ぎ、企業の経営活動を円滑に進めるために、非常に重要な制度です。36協定を適切に活用することで、従業員と会社双方にとってより良い労働環境を実現することができます。

本記事では、36協定の内容や注意点について解説しました。36協定を正しく理解し、適切に運用することで、従業員を守り、働き方改革を推進していくことが可能となります。


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